1年目エンジニアの内省〜マインド編〜
はじめに
前の記事から1ヵ月半程度しか経っていないが付け加えるという意味で今回文字に残す。
2/14の段階で「今年度はこんなもんだろ」と思い、書き上げてしまったがブレイクスルーは突然くるものだった。期間は関係ない。
技術的な面でのブレイクスルーはないが、精神面、マインドの面でのブレイクスルーが大きかった。
今回は前回記事に付け加える形で、前回記事の「ふわっと」していた部分を明確なものにしていく。
転職活動という刺激
実のところ12月から転職活動をぼちぼち進めていた。TechTrainを利用させていただいて、数社と面接をしたり、メンターの人と話す機会があった。
メンターの人や他企業の人からのフィードバックはある意味真の客観的目線になる。真は言い過ぎである程度偏りはあるだろうが、社内やコミュニティなどの今後の人間関係を気にしたフィードバックではない。
この転職活動が自分の中に変化のきっかけを与えてくれた。最終的に転職はやめた。
考える力
発端
一番自分の弱点として浮き彫りになったのは、考える力が乏しいということだった。
TechTrainの小澤さんと何度かキャリアの相談を行っている最中に浮き彫りになってきたポイントだった。
考える力と言ってしまうと曖昧すぎて何を指すのかがいまいち伝わりにくい。なので少しここではスコープの狭めた言い方に変える。なぜ?と考える力が足りていなかった。
これは実際の会話のやりとりである。
小澤さん「yum3は食べ物で何がすきなの?」
ぼく「・・・ラーメンですかね?」
小澤さん「なぜラーメンが好きなの?」
ぼく「・・・塩分がたくさん取れるから・・・?」
小澤さん「それってラーメンじゃなくても良くない?塩舐めればいいし」
ぼく「・・・たしかに!(なんで自分はラーメンが好きなんだ)」
と一見他所から見られたら「大丈夫かコイツ」となる状況なのだが、自分は割とよく食べるラーメンについて好きな理由を的確に述べることができなかった。これがなぜ?と考える力が足りていないことの理由である。
これは好きな食べものに限った話ではなく、直感的に良いと感じ終わっているものに対して同様の事項が起こりうる。
自分は感覚派な部分があり、この問題に直面していた。転職活動でなぜ? と聞かれる場面は多くあったが、自分は「体裁上、ロジックに矛盾がない程度に」答えていたことに気がついた。上っ面マンだったのである。
変化
この「なぜ?」と考える力を鍛えるためにはどうしたら良いのか?
それは単純で、物事に対して「なぜなぜ」と自問自答していくことが一番為になると小澤さんから教えてもらった。
ただ何日も「なぜなぜ」と考えるが、自分の中で納得できていない・咀嚼できていない部分があり、なぜ「なぜなぜと自問自答すると良いのか」(今思うとここで「なぜ」と思えているのが成長なのかもしれない)という疑問の答えが見つからずに悩んでいた。
そのときネットで調べていて出てきたのが「言葉にできる」は武器になる。であった。
自分は技術書はたくさん読むが、ビジネス書は嫌われる勇気と幸せになる勇気くらいで(これがエンジニアを目指すきっかけとなった)他には興味がなかった。
結果から言うと、「言葉にできる」は武器になる。は自分の求めていた答えそのものだった。(1章と2章しか読んでないが)
本書では、言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要があるという方針をもとに、「内なる言葉」で意見を育て、「外に向かう言葉に変換せよ」 と述べている。
内なる言葉というのは
無意識のうちに頭に浮かぶ感情や、自分自身と会話することで考えを深めるために用いてる言葉
であり、「声には出していないが自分だけには声として聞こえること」が該当する。
つまり、「なぜなぜ?」と向き合うことは「内なる言葉と向き合い、意見を育てている」ので、良いとされている。
また、この内なる言葉を書き出してT字型思考法を使い考えを深めていく方法が自分の中に腑に落ちた。
詳しくは本書を図書館等で借りて、ぜひ自分で読み噛み砕いて理解してほしい。
今後
本書にかかれていた「自分との会議」を行いつつ、自分についての解像度を上げることが必要だと感じた。
「なぜ?」だけではなく、「本当に?」と問いかけることで体裁上の答えをしていないか考えられるのも大きい。
この自問自答を繰り返していくうちに、「本当に自分のやりたいことは転職して手に入るのか?」「転職をする本当の理由は?」「転職で解決するのか?」という論題にも触れていき、棚卸しをすることが変化のきっかけになったのだと感じる。
余談だが、就職活動でよく言われる自己分析や志望理由はこのなぜ?と考える力が必要で、自分に対してなぜ?なぜ? を繰りかえしていかなければならないのである。
「なぜ?なぜ?」を知ってから思考のアウトプット記事がこっちで
言葉にできるは武器になる。を読んだ後の思考アウトプット記事はこっち
他責思考
「自分は他責思考ではない」という誤解
自分は他責思考ではない。考えるまではそう思っていた。
プログラムが動かなかったら自分のせいで、今の自分がいるのも自分のせいである。他人は関係ないという認識は常に持っていた(当たり前ではあるが)
しかし、1つだけ他責思考になっていた部分がある。それは環境が悪いということだった。
ただ最初から他責思考ではなかったと思う。理由として、自分はエンジニアになりたいと思って入った専門学校がIT系資格取得しか目指していない専門学校だった(大原ではない)
数年後自分がなりたいと思っていたエンジニアがWeb系エンジニアだということに気づいてから学校は意味のないものになった のだが、「自分がこの学校を選んでしまったのが悪い」と思い独学でプログラミングを学んだ。
学校の環境が悪いなら変えようと思い、副校長に直談判しに行ったこともあった。結果変わらなかったが・・・。
つまり、ここで言いたいのは「組織は変わらないもの」という「先入観」を持ってしまい、環境が悪いとどうすることもできないという考え方を持ってしまっていたということだった。
ラベリングと役割
新卒で会社に入社し、上司を持ち、新卒の扱いを受ける、ごく普通の流れだ。
人間は無意識にラベリングをし、役割が人を作る。
つまり、新卒 というラベリングを受けて、新卒 という扱いを受けていると「自分は新卒らしく振る舞わなければいけない」「新卒なので会社のことを全く知らない」「新卒は学生気分」のような考えに近づいていく。
そうなってしまうと発言は減り、ある程度会社の内情を知るまでは黙ってしまう。負の連鎖である。
「新卒だから優しくしよう」だとか「新卒だからゆっくり伸びていってもらおう」というのもラベリングが悪さをしている。別に新卒じゃなくても優しく接するべきだし、新卒でなくてもゆっくり伸びていってもらえれば良いじゃないか。
会社の雰囲気・構造を変えようと思って新卒を雇い始めたが、新卒を新卒として扱っているようでは変わらない。そしてこの状況が多く起きると「新卒を雇うのは会社の考え方に染めるため」と言われてしまう。
そして、これは他の事にも言える。上司だから伝えづらい、PMは何もわかっていない、社長は末端のことを全く理解できていない。といったことだ。
新卒じゃないからイノベーションを起こせないのか、そうではない。誰にだって変えることはできる。 そのマインドが重要なのではないだろうか。
会社への不満と他責思考
他責思考の話に戻るが、「自分は新卒だから何もできない」「自分は新卒だから会社をよく知らない」といったように「自分は新卒だから」を言い訳にチャレンジを過度に恐れ、「会社に不満があったら会社が悪い」と思っている節があった。そして転職活動に繋がったのである。
実際はラベリングに屈していた自分が一番悪いのであり、会社側は変革を起こしてもらいたいと思っている。むしろ「自分が今抱えている不満」を感じているのは「良い方向に変えていくチャンス」なのではないかと考えるようになった。
「文句を言っていればいずれ変わる」から「自分から変えていく」マインドに変わり、積極的に社内への活動を行うようになり、「ただ淡々と日々の仕事をこなす」だけから抜け出したことで毎日の仕事がより一層楽しいものに変化した。
これからも自分ができることを考えつつ、積極的に行動していけたら良いと思っている。
余談
ラベリングの話はEM.FMのep1.Engineering Managerの魅力から知見を得た。
ランニング x 技術Podcast最高と思いつつ、週3日でランニングをしている。
ちなみにPodcastを聴くという習慣は、転職活動の面接で相手をしてもらった方から共有してもらった。ありがとう転職活動。
環境のせいにしているのではないか?と考え始めたきっかけは「原因」と「結果」の法則で、言及されていたからである。少し宗教寄りの自己啓発だが考え方は参考になる。
再現性
今何もできていないのに他で何ができる?
転職活動を行っていく中で 「再現性」 が大切という話を聞いた。
自分が今の状況で何も成し遂げていないのに、他の場所に行ったからといって何かを成し遂げることはできるのだろうか?
もちろん成し遂げられない場所もある。ただ自分が今いるこの場所で成し遂げられることはあると感じていて、成し遂げられればそれは大きな経験になると思った。
これから
やりたいこととキャリア
やりたいこととは何か、積んでいきたいキャリアとは何か?ということを考えていった時に自分の中にある理想像というのは、エンジニアリング・マネージャーが近いと感じた(察している人もいるだろうが)
自分は開発者には幸せに開発してもらいたいと思っているし、デザイナーには幸せにデザインしてほしいと思っている。つまり、チーム・組織レベルでのマネジメントを行い、チームの生産性・メンタリティを高めていきたいのだと感じた。
今まで技術以外のことには触れない人生であったが、この変化によって他のことも勉強しようという気持ちが強くなっている。
今はまだ技術の知識も浅く、マネジメントの知識も浅いが「良くしていきたい」という気持ちを忘れずに精進していきたい。その過程で「自分はまだ知識が浅いから」というラベリングでチャレンジを恐れるのではなく、積極的に機会があればチャレンジをしていきたい。
チームや組織の最適解はない、人によって背景は違うし価値観も異なる。その不確実性の中で良い方向に向かっていけるようにマネジメントしていける、そんな人間になろうと思っている。
とりあえずはピープルマネジメントの領域をいろんなケースを見つつ、学んでいくのが2年目のタスクなんだろうな・・・と思っているそんな次第である。
参考資料
本
EMという概念についてはこの本から得た