やむのこばなし

ひっそりと続けてる人を重んじるエンジニアのブログ

読書感想「TeamGeek」

TeamGeek

第一印象

  • Googleのソフトウェアエンジニアリングと被っている部分が多かった
    • Googleのソフトウェアエンジニアリングを辞書とすると、TeamGeekはまさに「チーム」に関連する事項に絞ってある読み物
    • TeamGeekは挿絵もあって読みやすさがある
    • メーリングリスト等はちょっと現代だと古いかなぁと思いつつSlackで置き換えて考えている
  • TeamGeekの目的としては、「プログラマがソフトウェア開発を効率的かつ効率的にするために、他人の理解・コミュニケーション・コラボレーションの能力を向上させること」とあるので、「人」にフォーカスしている
  • もちろん、Googleのソフトウェアエンジニアリングに載っていない事項もあったので集中的にその部分を読み進めた

目次をいくつかピックアップしながら印象に残った部分をあげる。

ミーティング効率

まとめると

  • 進捗報告だけのスタンディングミーティングは無意味

ルール

  • 絶対に必要な人だけ呼ぶ
  • アジェンダを作ってミーティング開始前に配布する
  • ミーティングのゴールを達成したら時間前でも終了する
  • ミーティングを順調に進める
  • ミーティングの開始時間を強制的に中断される時間(お昼休みや就業時間前)に設定する

という話だった。進捗報告だけのミーティングはオンラインミーティングでもやりがちになってしまっているので、「この会議必要ですか?」と言う積極性が必要だと強く感じる章だった。

有害な人に対処する

少し話がズレるが、世間にはブリリアントジャークと呼ばれる人が存在しており、この本では有害な人と称している。

note.com

最近ではテクハラと呼ばれることもあり、おじさんに限らずデジタルネイティブの世代がおじさんにテクハラをしてしまうケースも少なくないようだ。

参考記事

note.com

しかし、技術的指導をマウントと感じるのは個人の裁量に任され、Aさんはマウントに感じなかったが、Bさんはマウントと感じてしまうケースなども往々としてある。難しい。

ただ、そういった場合でもこの状況を避けるためには尊敬の精神を持っていれば十分回避可能だと感じる。

尊敬の精神を持っていれば言葉遣いや態度に不快要素が現れる可能性は低い。「えぇ!?知らないの?」のように驚いた素振りを見せると質問者は萎縮し、心理的安全性は失われてしまう。質問には「知らなくて当然」の精神で答えるくらいがちょうどよいのではないかと最近は思う。(ちなみにここらへんの話はGoogleのソフトウェアエンジニアリングのほうが深堀りされていた)

本書にもどると、有害な人はチームの直接的な脅威になると言われており、生産性だけではなく、チームの文化まで悪化する傾向にある。と述べられている。

そのために対策としては、「文化を強固なもの」にするのが有効であると述べられている。やはりチーム文化はしっかりと土壌から作っていく必要があると感じた。

余談だが、2013年の本なのに笑うを「草」と表現していて驚いた。こんな前から「草」なんてあったっけ?

ユーザーも人間

アプリを開発する側として、絶対に忘れてはいけないユーザーの存在について述べられている。

個人開発で開発することだけに焦点を当てていると、ユーザーのことを全く考えていないアプリが出来上がることがある。

その問題を避けるために、この章を一読すると良いと思う。また、ユーザーに対しても尊敬の気持ちは大切で、「ユーザーはバカ」と思っては絶対にいけない

本書のたとえ話として

ユーザーのことをバカと思うのは、トランスミッションの修理や問題の診断ができない君のことを自動車工がバカだと思うのと一緒だ

という一文があった。ごもっともである。

  • マーケティング
    • ソフトウェアがどのように見られるか気を配る必要がある
  • ユーザビリティ
    • ソフトウェアが簡単に使用できなかったら、遅かったら、使いにくかったら、アクセスできなかったら、ユーザーはいなくなってしまう
  • カスタマーサービス
    • ユーザーと長期的な関係構築が、ソフトウェアの進化やユーザーの定着に影響を与える

というのが重大なコンセプトであり、私達のプログラムを書く理由である。

ソフトウェアはユーザーの生活を豊かにするために作られるのだ。

感想

  • 本書の最後にて「本書のアドバイスは必ずしもソフトウェア開発に限ったものではない」と言われており、そのとおりだなと感じた
  • 今までの自分は技術を追い求めることに躍起になっており、人間的に重要な部分が少し欠如していたように感じられ、本書の要素を胸に刻む必要がありそうだった
  • エンジニアリングは簡単。人間は難しいという言葉があるように、人間に対する理解の時間を増やすべきだと感じた
  • 組織で働く上で「人間関係」は切っても切り離せないものであり、重要視する必要がある。
    • そしてその「人間関係」を円滑に行うには「尊敬」の気持ちを忘れずに持っておくことが一番の鍵なのだと再実感した

尊敬については過去記事で重要性を再実感している。

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